前回の続き。
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2crowを見るのがめんどくせえ!って方は、下を反転して前回のあらすじをご覧ください。(ネタバレ有)
1crowのあらすじは、2crowで見れます。
食べ物を得るために、朝一でごみ捨て場へ出かけたゆめ。
ごみ捨て場をあさっているところに、丁度人が通りかかった。
運の悪いことに、その人はこの高級住宅街の住民だった。
その人に事情を説明すると、なんと食べ物を分けてくれるといってくれた。
しかも、朝ごはんまでご馳走してくれるとか。
ゆめはうれしい気分でその人の家に向かったのですが・・・。
彼の名前は、「篠野 海唯」(しのの かい)くん。
あたしと同じ17歳。
それにしても、まったくの正反対だな。あたしと篠野くんは。
あたしなんか毎日の食事にさえ困る始末なのに、一方の篠野くんは他人に食べ物を分け与える事を平気でしてしまうくらいのお金持ち。
なんか、身分の差を感じるよ。
「着いたよ。ここが、オレんち。」
「え?え?え?!いやいやいや、ここって住宅街一有名なでっかい家じゃん!すごいよすごいよ!!」
「そう?普通だけど・・・」
「この家が普通なら、あたしの家はその辺に生えてる草だよ!」
本当に、大きいし、なんか庭まで豪華だし!
こんなあたしなんかがこの家に入るなんて、なんかもったいないよ。
「おじゃましまーす・・・」
あたしがそういいながら扉を開く篠野くんの後ろに隠れながら(?)進むと・・・。
「おかえりなさいませ、海唯様。」
目の前に、20人ほどのメイドさんがずらーっと並んでお出迎えしていた。
「みんな、ただいま。」
ここはお屋敷ですか!
こんな気分、初めてだ。
びっくりすること、多すぎ!
「篠野くんの家って、いつもこんな感じなの?」
あたしが、信じられないでいると、篠野くんは微笑みながら、「そんなたいしたことじゃないよ」といった。
「ゆめ様、こちらへどうぞ。お食事の準備が整っておりますので。」
「は・・・はあ・・・どうも・・・」
なんか、緊張するなァー。
様付けなんか、生まれて初めてだし。
こんな大きな豪邸に入ったのだって、生まれて初めてだし。
篠野くんとは世界が違うんだなって、突きつけられたような気分だ。
分かってる事だけど・・・。
「さ、座って。一緒に食べよう。」
「あ・・うん・・・・」
目の前に、豪華な食べ物が並ぶ。
今まで口にすることなんてなかった高価なものが、たくさん並ぶ。
夢を見ているようだった。
「弟達、朝ごはん食べてないの。だから、これ食べて食べ物貰ったら、すぐに家に帰るね!」
「うん。わかった。」
篠野くんは、そういうと、目の前に並ぶ食べ物を食べ始めた。
(あたしもたーべよっと。お腹ペコペコだし・・・)
「いただきます!」
スプーンを口に運ぶ。
スープだ。
家で作る味噌汁と比べてしまう。
ああ・・・あの味噌汁、量が少ない割には味噌汁の味してたなー・・・。
そんな事を考えながら、次から次へと食べ物を完食していく。
「おいしい!おいしいよー!!生きててよかった!!!」
時折、そんなコトバを挟みながら。
すると篠野くんは
「大袈裟だな!こんなの家来ればいつだって食べさせてあげるのに。」
と、まるで神様のような発言をするのであった。
「ごちそーさま★めちゃくちゃおいしかったです!!!」
「よかったよかった。後でシェフにも伝えとくよ。」
へー・・・さすが・・・。
シェフまでいちゃうんだ。
本当にお金持ちなんだなァ・・・。
「はい。これ、約束してた食べ物。大したもの入ってないけど・・・。受け取って?」
そういうと、篠野くんは私に袋を渡してきた。
「うん、ありがとうー!!・・・わあ・・・!すごいよ!こんなにたくさん!!それも新鮮な野菜とか特上お肉とか!」
「喜んでもらって、嬉しいよ。」
「本当に、助かりました!!!これでしばらくは生きていけそう!ほんと、ありがとう!!!」
何度も何度もぺこぺこと頭を下げて。
その度に篠野くんは、「顔上げて?」と言うのだった。
「じゃあ、弟達が家で待ってるので、帰るね!ありがとうございました。」
あたしが、家のほうへ歩こうとしたとき。
「困ったら、いつでもここに来て!オレが助けてあげるから!!」
篠野くんは、そんな優しいコトバをかけてくれた。
しかし、私が、ありがとう、と言おうとしたとき。
「決めた!お前のニックネーム!!!カラスー!!!」
「はああぁぁあ??!!」
思わずケンカ腰になって篠野くんをにらんでしまった。
「ぴったりだって!ごみ捨て場であさってるんだし。うん、これからカラスって呼ぶ!」
「やめてよ!何そのなんか見下したニックネーム。」
「カラス!ばいばい!!」
篠野くんは、私の言葉を無視して家の中へと帰っていった。
「何なの・・・あの人・・・!!ムカツクーー!!!!!」
食べ物貰ったけど。食べ物ご馳走になったけど。優しかったけど。
・・・・どうにせよ、私は完璧不利だ。
「カラス・・・かあ・・・。私がカラスなら、あいつはライオンか。支配者か。」
そんな事を、ひとり空に向かって呟いた。