貧乏で食べるものにも困る主人公とその家族。
そんな中でたくましく生きる主人公の恋のお話。
大きな大きな大都市に、一軒の小さな小さなぼろぼろのお家がありました。
そこに住んでいる6人家族の長女が、バイトから家に帰ってきました。
「ただいまー」
バタバタバタッ!
そんな足音が響く。
「ゆめねーちゃん!今日の夜ご飯は何ー?」
次男・栄斗(えいと)10歳。
「栄斗・・・。ごめん。もう今月はお金がないから、ご飯ヌキだよ。」
長女・ゆめ17歳。
「えーそんなあ!お腹空いたよー!!」
三女・ゆき6歳。
「ってか、ねーちゃん変なニオイすんだけど。」
長男・秀(しゅう)14歳。
「あー・・・食べ物を収穫しに、またあのごみ捨て場に行ったから・・・」
「「「えー」」」
「結局なんも食べ物なかったんだけどね。」
「早く風呂入れ!家がくさくなる!」
秀が言う。
「うっさいわねー・・・言われなくても入るって。」
「おねえ。服別々で洗ってよね。ニオイうつる。」
次女・陸(りく)15歳。
「はいはい。わかったわかった。」
私はそれだけ言うと、お風呂へと向かった。
私の家では、母と私と4人の弟・妹達で暮らしている。
父親は、ゆきが生まれてからすぐに、行方不明になっている。
母は毎日パートで忙しいし、長女は私だから、毎日学校が終わるとバイトに出かけ、スーパーで売れ残りの安売りの食べ物を買って帰っていた。
でも、最近は安売りがしてなくて、でも毎日食べるものが必要だから買っていた結果、結局お給料日まで間に合わず、食費がなくなってしまったのである。
まあ、こういうことはよくあるし、いざとなればごみ捨て場に行って食べ物を収穫すればいいか、って思ってた。
でも、甘かったんだ。
前はよく残りを捨てたりされてたからよかったんだけど、今日はまるで食べ物の残りものが無かった。
ついてないよ。
鳴るお腹を抑えながら、お風呂を上がり出てきた私。
居間へ行くと、みんなもお腹を鳴らしてぐったりしていた。
「衰弱死するのも、時間の問題かな・・・」
「ねえぢゃーん・・・食い物をくれー・・・」
秀が言う。
「あーもう!仕方ないなぁ・・・。明日、朝イチでゴミ捨て場に行くから。今日はもう寝よ!」
は~い、と、力ない返事をし、それぞれ布団へ潜る。
私は、目覚ましを5時に設定し、眠りについた。
母は今日も徹夜らしい。
その日の夜は、母が家に帰ってくることはなかった。