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最後まで名前を名乗らなかったその少女を
今でも鮮明に覚えているのは
それが初めて自分の心を許せた相手だったから―。
「なあ……俺、もうわかんねーよ。今にでもあんたを憎みそうで怖ぇよ……」
まだ完治しない自分の体を、冷え切った空乃の体が抱きしめた。
「どうぞ憎んでください。私は何も、傷ついたりしませんから……だから。」
―安心して、私を憎んでください。
彼女はそう言って、涙を流した。
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